比較筆跡鑑定研究所

研究員の雑談は、日頃の鑑定業務に係る色々な質問や意見を、研究員のメッセージとしてお届け致します。

■話題【其ノ壱】「そうだ、比較筆跡鑑定を依頼してみよう!」です。  

 
比較筆跡鑑定とは、鑑定資料と対照資料の同一文字の筆跡を鑑定すると言うことです。鑑定資料とは、誰が書いたのかわからない筆跡で、対照資料とは、誰が書いたの明らかになっている筆跡です。 例えば、依頼の中で増えつつあるのは「中傷文書・怪文書」が鑑定資料である比較筆跡鑑定です。ある日、あなたの郵便ポストに差出人が書かれていない封書が送られて来たとします。封筒を開けると、あなたの事を中傷するような文章が手書きで綴られていた。そこで、あなたはまず「こんな手紙を送ってくるのは誰だろうか。」と考えませんか?手紙の内容や筆跡からあなたは、Aさんが書いたのではないだろうかと疑うとします。しかし、Aさんに「あなたが書いたの?」と問いたところで、Aさんはそうそう認めるとは思えませんし、もしかしたら、Aさんではないのかもしれません。でも、どうしてもその手紙を書いた人物を特定させたいと思い始めます。そう、あなた自身を納得されるためにも。その様な時に、あなたではなく、Aさんでもなく、第三者である「比較筆跡鑑定のプロ」に鑑定を依頼するとあなたの悩みも晴れるのではないでしょうか。
 当研究所のお問合せでは、「中傷文書・怪文書」に係らず、「遺言書」や「契約書」等、比較筆跡鑑定を依頼してみたいのだけど、どの様に依頼したらいいのかわからないのでと言う内容のお電話を頂くことも多いです。もし、お悩みであれば、一度、当研究所にお電話、Eメールでお問合せ下さい。鑑定人を始め、当研究員ができる限りのアドバイスをさせて頂き、比較筆跡鑑定をより利用されやすい方向に導きさせて頂けましたら幸いです。
(研究員T)

話題【其ノ弐】「筆跡異同診断票って何?」です。

 筆跡異同診断票は、本鑑定(筆跡鑑定書)をご依頼いただく前に、弁護士の先生方が鑑定資料の方向性を決められる為に設定させて頂いております。その際に、筆跡異同診断(結果のみ)をご依頼いただく場合が多い傾向にあります。所見付・根拠の概要付は、裁判(係争)にまでは至らず自己納得や当事者間での話し合いをする場合、筆跡異同診断結果が「結果のみ」ですと根拠の説明がないために問題が起こりやすいと考えられ、所見付き・根拠の概要付きですと「何故この結論になったのか」という素朴な疑問を取り除けると考えられる為に設定いたしましたものです。本来「本鑑定の方向性を決める」という考え方で判定いたしておりますので、筆跡異同診断票作成後、裁判などに及んで本鑑定(筆跡鑑定書)が必要になった際でも当然ですが結論は変わることはありません。また、筆跡異同診断票の内容は「一般的に納得出来る内容なのか否か」とのご質問などがありますが、多くの方々が納得されるか否かは判断される方の尺度によって変わると考えられます。筆跡異同診断の結果のみであっても理解される場合や、本鑑定(筆跡鑑定書)を提出しても納得されない場合も考えられます。筆跡異同診断票などの作成例は、診断資料により変わりますので具体的な例はお伝えできませんがご了承ください。筆跡異同診断票は冊子として提出させて頂いております。結果のみの場合は、診断結果票に結論を記載し鑑定人の捺印が入ります。所見付きの場合は、お預りした資料の代表的な判定文字に対して数頁に亘り解説記事により説明させて頂く内容となります。例えば、結果のみの場合「何故ですか?」といった質問に対して、ご説明する内容を記事にしたとお考えになられるとわかりやすいかと思います。根拠の概要の場合は、具体的に文字を抜き出しなどをして所見の状況をふまえて代表的な文字に対して解説や一部図形を記載致します。このように「筆跡異同診断票」は様々な状況に対応できるように作成させて頂いております。筆跡鑑定がより身近になり、不安を安心に・推測を確定することにより問題解決の手段になればと比較筆跡鑑定研究所は考えております。

話題【其ノ参】「比較筆跡鑑定に係る対照資料の選び方」です。

 比較筆跡鑑定では、鑑定資料と対照資料が存在します。鑑定資料とは、その文字を執筆したのが誰なのか明らかになっていない資料で、例えば、遺言書や契約書の署名、中傷文書や怪文書等の資料が多く見られます。対して、対照資料とは、誰が執筆した文字なのか明らかになっている資料で、例えば、手紙や日記等の資料が多く見られます。ここで、お伝えしたいのは、対照資料についてのことです。比較筆跡鑑定のご依頼を受ける時、ご依頼人になるべくお願いしていることは、鑑定資料の作成された日付より以前に執筆された資料、又は、作成された日付より以後でも自然態(鑑定資料に影響されず、普段の日常生活において執筆された完成状態)に執筆された資料を対照資料とさせて頂くということです。何故かと申しますと、例えば、契約書に誰かが勝手にあなたの名前で署名して契約が取り交わされたとします。もちろん、あなたは知りません。後日その事実を知ったあなたは、「私は知らない!書いていない!」と相手側に訴えたとしても、納得するはずもありません。そこで、比較筆跡鑑定を依頼するのに、資料を集めることにします。鑑定資料は、あなたが知らない間に取り交わされた契約書、署名の筆跡です。対照資料として、あなたが書いたあなたの名前の署名の筆跡になるのですが、ここで、あなたがその場で自分の名前を書いたものを対照資料とした場合、その資料は自然態に執筆された資料と言えるのでしょうか?自分自身では自然態に執筆したと思えても、鑑定資料の署名の筆跡を見てしまった限り、その署名と似せて書いてしまう場合が時々ございます。この現象が所謂、臨書(手本となる文字を見ながら文字を書き写す、書道等がこれに当たります。)と言われている行為になります。それに、鑑定資料の契約書の署名は、あなたが書いたかの様に似せて執筆されていると言うことも考えられますので、対照資料にする筆跡は、あなたの筆癖や常に同じ様に現れる慣性等が表現されている可能性が高い資料、つまり、鑑定資料の作成された日付より以前に執筆されたあなたの署名の筆跡の資料や作成された日付より以後でも鑑定資料の契約書に関係なく自然態に執筆された筆跡の資料を対照資料になさることをおすすめ致します。些細なことかもしれませんが、この対照資料によって、あなたが納得できる比較筆跡鑑定の結果がより良い状況に導くことができると存じます。(研究員T)



話題【其ノ四】韜晦筆跡って何?」です。

まずは、「韜晦筆跡」とは、個有の慣性を晦まして執筆された筆跡、つまり「偽筆」の部類になります。例えば、中傷文書等を書くことになる場合(あまり好ましいことではありませんが)自分が書いた事はやはり知られたくないですよね。そんな状況から自分が書いていない様に慎重にゆっくりと自分の慣性や筆癖を隠し乍ら文字を執筆する等、何かしら努力をすると思います。そして、完成されました文字は、自らの慣性を晦まして執筆された「韜晦筆跡」となって表現されます。典型的なものとして、定規等を使って文字を完成させたりするのもございます。では、そこまで努力して執筆された「韜晦筆跡」の文字は、対象者が特定されないのでしょうか?中傷文書の鑑定でのお問合せの時によくあるご質問の内容でもあります。これまでの中傷文書等の比較筆跡鑑定の中で、判断を付けるのに苦労したものもありましたが、よほどの事がない限り比較筆跡鑑定の判断は、「韜晦筆跡」でも可能です。何故なら、「韜晦筆跡」はどうしても隠し切れない個有の慣性があるからです。ただ、注意したい点として、中傷文書等の内容から対象者がわかるものであるならば対象者は1名ですが、対象者が不特定多数の場合もあるということです。会社内であったり、近隣の住民であったり等、疑わしき対象者の筆跡はなるべく見せて頂くようにしております。その中から数名に絞り、更に、資料を追加して頂く場合もございます。そして、比較筆跡鑑定の基本でもありますが、中傷文書等の鑑定資料と対象者が執筆した対照資料との間に同一文字の数(例えば、○○様の「様」字がどちらの資料にも執筆されている状態)が多い程、鑑定結果の信頼度が高くなるということになります。「韜晦筆跡」の比較筆跡鑑定は、中傷文書等の鑑定資料と対象者の筆跡である対照資料との間で、一見、別人が執筆したかの様に伺えますが、同一文字を詳細に分析することによって、鑑定資料と対照資料との類似点、共通点、他人には真似できない個有の慣性が発見されることがございます。つまり、「韜晦筆跡」で執筆された中傷文書等にも比較筆跡鑑定を行う重要な鍵が隠されているのではないでしょうか。(研究員T)